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エンジンはどのようにして開発されるのか【その①】
こんにちは。
いよいよ本日で正月休みが終わりという方も多いのではないでしょうか?
私は昨日からお仕事ですが、正月休みは私の実家や妻の実家で暴飲暴食をしてしまった為、体重が3kgも増加してしまいました。。。
少しでもカロリーを消費する為に、毎日の徒歩通勤を少し遠回りしております。。。
皆様は体重増加は如何でしょうか?
さて、年頭あいさつを抜きにすると新年初めのブログですが、たまにはお仕事の車ネタでは無く、読み物として読んで頂けるように少し趣向を変えて、3回にわたり、自動車・バイクのエンジン開発の概略について書こうと思います。
このエンジン開発の概略については、「みんカラ」というサイトにも一度記載をしていますが、少し内容を付け加えて記載しようと思います。
※当時は第1ブロックがエンジン開発部署でした。第1なのはエンジンが中心という意味があるそうです。
プロフィールにもありますように、私は本田技術研究所にて自動車及びバイクの開発を行っておりましたが、2007年から2014年まで主に大型バイクのエンジン開発を行っており、最終的にはCB1100の1100cc空冷直列4気筒エンジンや、VFR800Fの800cc横置きV4エンジン、CT1300の1300cc縦置きV4エンジンといった様々な形式のエンジン開発プロジェクトリーダーとしてエンジン開発の取りまとめを行いましたので、その経験を基に記載をしていこうと思います。
(以下のエンジン開発概略はあくまで当時私がホンダで行っていた開発内容であり、現在及び他社では違うかもしれない点、ご了承願います)
「エンジンはどのように開発されるのか」、第1回目の今回は、エンジン開発の中身に入る前に、フロー(一番大きな流れ)について簡単に記載致します。
早速その開発フローですが、以下の様になります。
①会社の戦略や車両コンセプトに則って、エンジン諸元(エンジン形式、排気量等)、目標性能、目標コストの策定
②目標性能・耐久性、コストを達成する為の、エンジン内部及び周辺パーツの詳細諸元の机上検討(これはシミュレーション等の机上計算により行っていました)
③シミュレーション検討結果を反映して、各パーツの仮諸元決定
④試作エンジン、パーツの設計部門による設計
⑤砂型による試作エンジン、パーツの作成
⑥砂型試作エンジン、パーツにて、テスト部門による目標達成にむけての各種テスト
⑦テスト結果を反映して、エンジン及びパーツの再設計
⑧エンジン諸元、各パーツ諸元の決定
⑨決定した諸元を反映した金型エンジン、パーツの設計
⑩金型エンジン、金型パーツによる各種テスト
⑪量産
以上がかなりざっくりですが、新規エンジンを開発する際のフローとなります。
また、エンジン開発部門は設計部門とテスト部門とに分かれており、設計部門は主にCADを用いて設計を行う部門で、テスト部門は実際にエンジン実機を用いてベンチにてテストを行う部門です。
この両部門がテスト結果を共有して、議論を行いながらエンジン開発を進めます。
また、上記の流れがすんなり進むことは無く、⑤⇒⑥⇒⑦⇒⑤を何度も繰り返してエンジン部品全ての諸元を決定していくことになり、この繰り返しが一番大変で一番時間がかかるところです。
ちなみに、①の開発開始から⑪の量産まで、新規エンジン開発ですと約2年程かかります。
そして、上記のフローを更に大きく区分けすると、「コンセプト、目標立案(①②)」⇒「机上検討(③④)」⇒「砂型エンジンによる開発(⑤⑥⑦)」⇒「金型エンジンによる開発(⑨⑩)」⇒「量産(⑪)」 と分けることができます。
ここで『砂型』や『金型』といった文言が出てきたことに加え、「砂型エンジンでの開発」の次に「金型エンジンでの開発」というフローになっています。
次回は、その『砂型』『金型』の簡単な説明と、なぜこのような開発フローとなっているのかを説明したいと思います。
では失礼致します。